大台ケ原 東の川 中の滝登攀記
日時: 2001年9月23〜24日
参加: 池内・塩崎・浪川・大森・山本(恵)・田中と池内の友人安野(探検部OB)
良知(WV4回)・片岡(WV1回) 山本の友人検見川を加えた10名
行動:
前日大台ケ原の駐車場に集合。大台散策組の塩崎、検見川の見送りを受け8名で翌朝6時半から行動を開始。下降路の確認に手間取り、中の滝への取り付きは9時頃。下降路の途中から望む快晴の中の滝は圧巻で、フクデンさんの若いころなら、差し詰め「その美しい姿に登攀の意欲が湧き上るのを覚えた」となるだろうが、今回の40・50台のメンバーからは「200メートルはあるデ。あんなん登れるんか。むりちゃう?」といささか弱気な意見もあった。トップは池内講師と友人安野にまかせ残りはフィックスザイルにユマールをセットして進む。
1P
手がかりの少ない斜面から左上し、かぶり気味の凹角を立ち木を使い体を開いて乗り越し、息を切らせて30メートルと少し。
2P
岩に正対する基本の動作の多い中にちょっとオポジションなど加え、ナカナカの高度感を味わいつつの40メートル。
3P
右からかぶる側壁に頭を抑えられながら左上し、丸く外傾したホールドをなんとかだまして、ようやく登った40メートル。 この先、緩くなった傾斜の階段状をノーザイルで40メートル進み、下から1/3の大テラスに出たのが11時20分。もう2ピッチ進んで、中段の大テラスのタイムリミットを12時と考えていたが、このままでは無理。検討の結果、ユマーリングで登る人数をここまでの6名から3名に減らし、残りは別のルートで上部を目指す事にした。別ルートに進んだのは浪川・大森・山本。この変更とメンバー構成については「技術的な問題やないで。人数が多すぎて時間が足りんからや。この変更については大森がふかーく関与した事ははっきりさせとかんと」と浪川さんのご意見がありましたので、この件トクに記録します。(浪川さんOK?)
さて、別ルートを取った3人は、猛烈な薮こぎの末2時半に帰着。
ルートをそのまま滝に取ったメンバーは、4P 核心部 浮石の詰まった垂直に近いクラック50メートル、5P 50メートルを経て上段のテラスへ。この上は右側の樹林帯にルートを求め3時半に帰着。
人数が多くて変則の行動でしたが滝は素晴らしい眺めと手ごたえでなかなか好印象でした。(大森記)
■テクニカルノート■
アプローチは、シオカラ谷に行く石段途中で沢を渡る所立ち入り禁止看板のあるところを西に折れて千石尾根の稜線南面をトラバース。笹が途切れ栗畑の様になっている所を南斜面にルンゼを目指す。今回は踏み後を辿って行き過ぎ、中の滝の落ち口にまで行ってしまった。これぞルンゼと言うような美しいルンゼをしばらく下って左の踏み跡へ入る。これはかなりしっかりしていた。ところどころ鎖を使って歩いていくと、中の滝の真下に到着。(道を知っていれば1時間ちょっと?)
1P
池内リード ルート図はトラバース状に左に上がるものが多いがブッシュ帯を強引に直上する。その後左上しカンテを回り込むと声は通らず。ランニングはブッシュのみ。岩にテープひっかけビレーでFIX
2P
安野リード ハーケンが見当たらず岩にシュリンゲを引っ掛けて支点にする、残置テープシュリンゲがかかっていた岩とフレンズで、アンカーを作りFIX。後続を待たずに次のルート工作にかかる。
3P
池内リード フレンズ2箇所使用。あいかわらず残置ハーケンはない。大テラスにつくと頼りないハーケンが一発あったのでそれと岩とでアンカーを作る。安野さんが上がってくるとザイルを抱えて、4P目の取付まで歩く。引きずってきた1本のザイルをセット。大テラスで、タバコを3本ほど吸ったころ山本さんが到着。引きずってきたザイルを持ってきてもらって、4P目スタート。
4P
池内リード 垂直のクラックからコーナーでここが核心部。出だしが厳しかったのでフレンズを置いといてもらうように言う。20メートルくらい登ったところだろうか、足場のかなり安定したところで事件は起こった。手をかけた一抱えほどもある石が、傾いてきたのであわてて押し戻したが倒れてくる。たいした大きさではないと思ってのんびりかまえてたが、これ以上耐えることができなり安野さんに落石することを伝え、手を離し横に飛びのく。するとうまい具合に岩の間に挟まり2メートルほど下で止まってくれた。踏んでみても割合安定しているので一安心するが、なんと!ザイルが挟まっている。安定しているとはいえ今自分が落とした石なので信用できず、苦労して引き抜く。新品ザイルが2回目で早くもだめになった。そこからザイルがいっぱいになるまで直上(8畳テラスをとばす)。なんと!安野さんは、そのチョックストーン気味になった岩を抱きかかえるようにして登ってくるわ、田中さんはその岩を触らずにこようとして両足をつっていた。支点は、フレンズ、ハーケン、フレンズで3箇所。安野さんが引きずってきたザイルをFIXセット。ほかにも浮石多数。今度リードする人はフレンズでの人口が無難でしょうか、フリー5級ぐらい?(大股開きでスタンス縦方向ばかり)
5P
安野リード フレンズを2箇所使い、小テラスへ。池内がスタートするもバックロープが岩の間に挟まり下から登ってくる片岡にはずしてもらうまで待った。ルートは終了点下で右に巻くと大変難しく、リードは怖そうだった。当初滝の中段は3Pの予定だったがザイルをいっぱいに伸ばしたためむりやり2Pで行くことが出来たが。ここはかなりアンカーを作る場所を探した。
※上段は登っても良かったが木登り中心なのとさらに時間もあまり無いので、右の断壁を横切るガリーをつめて千石尾根へ出る。
8名分の団装としてザイル5本、カラビナ26枚、60cmシュリンゲ15本、120cmシュリンゲ5本、
フレンズ4個(大き目)、ジャンピングセット、ハンマー2個、ハーケン8本。アッセンダ―4本
ガリー登攀を予想しフレンズはいい感じだったが、逆にフェースではハーケンの利く場所が少なくノーピン、60cmシュリンゲとカラビナは半分くらいでも足りていたと思う。120cmシュリンゲはアンカーとして使っていたのでなかなか下から上がってこずにちょうどいい数であった。(池内記)
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